冷酷さの一方、憎めない人間味を感じて!
先週、図書館で本を3冊借りて『井坂幸太郎』
さんの『グラスホッパー』を読み終えました。
ネタバレをしますが、ちょっと紹介しますと…
『グラスホッパー』って『バッタ』でしたね。
トノサマバッタは、環境によって、色や性質が
変わり、たくさん群がると黒くて、凶暴になる
そうで、それを都会の人ごみにいる凶暴な人間
になぞらえるところから、物語は始まります。
『鈴木』は、妻を非合法な会社『令嬢』の社長
の長男に、轢き殺され、復讐を決意した。
教師を辞めて、契約社員となり近づくが、その
長男が人に押されて、車に轢かれるのを目撃。
『押し屋』らしき男を追うと『槿 (あさがお) 』
という名のエンジニアらしく、妻と2人の子供
のごく普通の4人家族だった。会社からの命令
で、押し屋か確かめるため、家庭教師を偽る。
『鯨』は、自殺専門の『殺し屋』。自殺させた
人間が幻覚となって現れ、現実との境界が曖昧
になっていた。
過去を清算すると幻覚から解放されると訊き、
その通りにしていると、『蝉』という殺し屋に
命を狙われたことを知り、蝉を探し始めた。
『蝉』は、ナイフ使いの『殺し屋』。約束時間
に遅れて、鯨を殺せず、しかも、鯨に依頼人を
殺されてしまった。
『令嬢』の社長が、血眼で探している押し屋を
知る人間が、会社に呼ばれていることを知り、
そいつを横取りして、手柄を立てようとした。
『鈴木』と、2人の殺し屋、そして謎の『槿』
家族のやりとりで、物語は進んで、ある結末に
至るのです。
鯨が、自殺に追い込むシーンや、蝉がナイフで
殺める場面は、残虐で、冷酷さを感じる一方、
ジョークを交えるユーモアもあって、憎めない
人間味を感じました。
最後に、鈴木がホームで、亡き妻に放った言葉
『それにしても、この列車、長くないか?』は
この物語が、実は鈴木の『幻覚』だったのかも
しれないと、気づかされるのです。
本日は、この辺で。