『きいろいゾウ』を読んで!

お互いを想う気持ちが、解決への糸口に!

 

2ヶ月前、Instagramで紹介されていた中から

西加奈子』さんの『きいろいゾウ』を読んで

みました。ネタバレしますが、紹介しますと…



『ツマ (妻利愛子) 』と『ムコ (武辜歩) 』の若い

夫婦は、ほとんど駆け落ち状態で、都会の雑踏

から、片田舎に引っ越してきました。

 

ツマは、小3の1年間、心臓の病で入院生活を

送る中で『きいろいゾウ』という絵本に出逢い

夜ごと空想の翼を広げていました。

 

だから大人になった今でも、売れない小説家の

ムコさんが、執筆している間は、エサをねだり

にくる野良犬の『カンユ』や、隣家のチャボの

『コソク』の動物達と、おしゃべりをしたり、

毎日のように訪れてくる『アレチさん』という

お爺さんや、大人びた小学生の『大地くん』と

話して過ごしていました。そんなツマをムコは

優しく見守りながら、日記に記していきます。

 

仲睦まじい2人ですが、お互いの過去のことは

よく知りませんでした。

ムコは、ツマの幼い頃の入院のことを、ツマは

ムコの背中の『鳥の入れ墨』のことなどを…。

 

ムコは幼い頃、叔母の『ない姉ちゃん』の自殺

を観てしまったことをツマに打ち明けましたが

ツマと出逢う前に、恋人の『緑』がいたことは

告げられずにいました。

 

実はツマは、ムコの日記で、知っていました。

そして、ムコは、ツマがその日記を読んでいる

ことに気づくのです。

 

そんな中、緑の夫からの『助けを請いたい』と

書いた手紙を、ムコは受け取ります。ツマが、

知っていると判っていながら話せず、互いの溝

が深くなり、東京に行くと云うムコに、無言で

訴えるツマ。ムコは、行ってしまいました。

 

ツマは、ムコの日記から、緑との過去を知り、

背中の鳥は、緑が描いた絵であったこと、緑に

ない姉ちゃんの姿を重ねていたこと、緑の夫に

知られて、別れたこと、緑が心の病にかかって

夫に助けを求められていることを知りました。

 

そして、アレチさんから、夫婦のことを教わる

うちに、ムコがかけがえのない存在なんだと、

かみしめるのです。

 

一方ムコは、緑と逢って、ツマがどんなに大切

な存在かと気づき、2人は、夫婦の絆をさらに

深めていくのでした。



ひとつ屋根の下で、同じものを食べ、同じ経験

をしていても、それぞれの見え方や感じ方は、

違うもので、ツマの自然や、動物への感じ方は

空想の世界で、幻想的で、そんなツマをムコが

客観的に観ながらも優しく、時には心配そうに

日記に記していて、面白くて、あったかな夫婦

と感じました。

 

どんな夫婦でも、すれ違いがあって、ピンチは

訪れるものですが、互いを想う気持ちが、解決

への糸口になるのではないでしょうか。

 

            本日は、この辺で。